『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』文章保管用ブログ。
Posted by ささら - 2008.10.27,Mon
中身全くナシなお話。
ミクとメイコは健全なお仕事ばっかりなのです。
ミクとメイコは健全なお仕事ばっかりなのです。
「博士、なんですか?これ」
博士の研究室で、物珍しそうにミクが手に取ったのはどこからどう見ても眼鏡であった。しかし、普通の眼鏡がアンドロイド用の部品を置く棚にあるのはおかしい。
「眼鏡だねぇ。視力補正用じゃなくて、アンドロイドの情報端末として最近開発されて、今テスト中なのさ~」
「かけていいですか?」
「どーぞどーぞ」
特別妙なところもない、普通の眼鏡に見える。ミクは無造作に眼鏡をかけた。
「そんで左側の付け根のネジがスイッチになってるからー」
「これ?」
確かに少し押せるようになっていた。
押すとカチリと音がしてレンズが少し暗くなり、やがてなにやら数字や文字が浮かぶ画面が出てきた。
「わーすごい。これ、あれみたい。ほら、少年探偵のアニメの」
「ハハハ、ミクもネクタイに変声機付けてみる?」
「腕時計も必要になりますねー」
そんな他愛もない話で盛り上がっていると、ドアがノックされる音。
「んー?」
博士がやる気のない返事をすると、ドアの向こうから声がした。
「すいません博士、カイトです。ミク、こちらに来てますか?」
「いるよ」
「カイト、開けていいよ」
許可を出すと、律儀に失礼しますと言って、カイトが部屋に入ってきた。
「あ、その眼鏡」
「えへへ。似合う?」
「似合うよ。ミクは何でも似合う」
「そう?ありがとう!」
恥ずかしげもなくカイトは言い、ミクもありがとうと素直に返す。
そんな二人を見ながら博士は遠いところを見るように、目を薄めた。
(見ているほうが恥ずかしくなるなー。マイペースな子達だ)
「それで、何か用事?」
「うん、荷物が送られてきたから」
「衣装?」
「そう」
カイトは気軽に返事をした。
そしてミクは妙に真面目な顔をして聞く。
「……ネコミミ?」
「だったよ。ほら」
と、後ろ手に隠していたものを取り出した。
それは、いわゆるネコミミと呼ばれるものと、そしてフェイクファーであしらわれている猫をモチーフにしたビキニだった。博士が少し引きつった笑みを浮かべた。ちょっと引いている。
「どうしたの、これ」
「視聴者からのリクエストなんだって」
先日ネットで行われた‘初音ミクの衣装リクエストランキング’で、人気のあったものを着て歌を歌うという企画があり、その上位に入ったのがこのネコミミと水着のような衣装だった。
「人間の趣味ってよくわからないなぁ」
ミクは反応に困っていると素直にこぼす。彼女には、実際の猫の方が万倍かわいいと思えて、猫の衣装を着る意味がわからないのだ。
「ミクはかわいいから何でも似合うよ、大丈夫」
そういう問題でもないのだが、カイトとしてはフォローらしい。その微妙なズレ方がカイトらしいなと博士は思った。本当にマイペースな子だ。
ミクはネコミミがついたカチューシャをカイトから受け取って、頭にはめた。
ちょうど横のテーブルに置いてあった鏡を自分の姿を確認する。トレードマークであるツインテールを器用に避けてつけると、耳が何個もある印象になるなぁと、ミクはぼんやり思った。
更に、きわどい衣装を服の上から被せて確認する。
もちろん眼鏡はかけたまま。特に外す必要もなかったからだ。
なんだかなとミク自身思うが、これも仕事だし、それにリクエストなのだし、応えないわけにもいかない。
(みんなが喜んでくれるなら、いいかなぁ……)
一方、保護者である博士は、いかがわしい感じがするその姿に、心配になった。
普通のアンドロイドは性欲をぶつけられる事に対して弱いのだ。何か間違いが起こったら?今までは行動範囲をコントロールすることで守ってきたが……ああミクに何かあったらどうしよう、などと心配で仕方がない様子だ。
断れないの?と言おうとした瞬間、カイトが耳打ちした。
「博士、大丈夫ですよ、ミクたちが触れる物をコントロールする限りは。それに、今だってネットで大量に出回ってるじゃないですか。今更です」
「何で知って……て、カイトは大丈夫なんだっけ」
「ええ、まあ。ミクたちは一応ですけど、防衛機構も回避機構ついてますし、何かあっても後のフォローがちゃんとしていれば機能障害には陥りませんよ」
「そうなんだけど、わかってるけどさぁ……心配だ」
ぶつぶつと言う博士はまさしく親馬鹿である。
ミクはまだ衣装の確認中だ。
なんだか気に入ってきた様子で、鏡の前の彼女は少し楽しそうにしている。それがまた博士の心配性を煽るのだ。
「あ」
鏡に向かっていたミクが何かに気がついたように声を出し、博士とカイトの方に向き直った。
「この衣装、そのままより、眼鏡かけて着た方がかわいいと思うの。この眼鏡色々機能ついてるし、いいと思うんだけど」
どうかなあと、博士の心中など知らずミクはニコリと笑って言う。
聞かれたカイトと博士は、それはちょっとマニアックだろうと、引きつり笑いを浮かべるのだった。
次:日常その4
博士の研究室で、物珍しそうにミクが手に取ったのはどこからどう見ても眼鏡であった。しかし、普通の眼鏡がアンドロイド用の部品を置く棚にあるのはおかしい。
「眼鏡だねぇ。視力補正用じゃなくて、アンドロイドの情報端末として最近開発されて、今テスト中なのさ~」
「かけていいですか?」
「どーぞどーぞ」
特別妙なところもない、普通の眼鏡に見える。ミクは無造作に眼鏡をかけた。
「そんで左側の付け根のネジがスイッチになってるからー」
「これ?」
確かに少し押せるようになっていた。
押すとカチリと音がしてレンズが少し暗くなり、やがてなにやら数字や文字が浮かぶ画面が出てきた。
「わーすごい。これ、あれみたい。ほら、少年探偵のアニメの」
「ハハハ、ミクもネクタイに変声機付けてみる?」
「腕時計も必要になりますねー」
そんな他愛もない話で盛り上がっていると、ドアがノックされる音。
「んー?」
博士がやる気のない返事をすると、ドアの向こうから声がした。
「すいません博士、カイトです。ミク、こちらに来てますか?」
「いるよ」
「カイト、開けていいよ」
許可を出すと、律儀に失礼しますと言って、カイトが部屋に入ってきた。
「あ、その眼鏡」
「えへへ。似合う?」
「似合うよ。ミクは何でも似合う」
「そう?ありがとう!」
恥ずかしげもなくカイトは言い、ミクもありがとうと素直に返す。
そんな二人を見ながら博士は遠いところを見るように、目を薄めた。
(見ているほうが恥ずかしくなるなー。マイペースな子達だ)
「それで、何か用事?」
「うん、荷物が送られてきたから」
「衣装?」
「そう」
カイトは気軽に返事をした。
そしてミクは妙に真面目な顔をして聞く。
「……ネコミミ?」
「だったよ。ほら」
と、後ろ手に隠していたものを取り出した。
それは、いわゆるネコミミと呼ばれるものと、そしてフェイクファーであしらわれている猫をモチーフにしたビキニだった。博士が少し引きつった笑みを浮かべた。ちょっと引いている。
「どうしたの、これ」
「視聴者からのリクエストなんだって」
先日ネットで行われた‘初音ミクの衣装リクエストランキング’で、人気のあったものを着て歌を歌うという企画があり、その上位に入ったのがこのネコミミと水着のような衣装だった。
「人間の趣味ってよくわからないなぁ」
ミクは反応に困っていると素直にこぼす。彼女には、実際の猫の方が万倍かわいいと思えて、猫の衣装を着る意味がわからないのだ。
「ミクはかわいいから何でも似合うよ、大丈夫」
そういう問題でもないのだが、カイトとしてはフォローらしい。その微妙なズレ方がカイトらしいなと博士は思った。本当にマイペースな子だ。
ミクはネコミミがついたカチューシャをカイトから受け取って、頭にはめた。
ちょうど横のテーブルに置いてあった鏡を自分の姿を確認する。トレードマークであるツインテールを器用に避けてつけると、耳が何個もある印象になるなぁと、ミクはぼんやり思った。
更に、きわどい衣装を服の上から被せて確認する。
もちろん眼鏡はかけたまま。特に外す必要もなかったからだ。
なんだかなとミク自身思うが、これも仕事だし、それにリクエストなのだし、応えないわけにもいかない。
(みんなが喜んでくれるなら、いいかなぁ……)
一方、保護者である博士は、いかがわしい感じがするその姿に、心配になった。
普通のアンドロイドは性欲をぶつけられる事に対して弱いのだ。何か間違いが起こったら?今までは行動範囲をコントロールすることで守ってきたが……ああミクに何かあったらどうしよう、などと心配で仕方がない様子だ。
断れないの?と言おうとした瞬間、カイトが耳打ちした。
「博士、大丈夫ですよ、ミクたちが触れる物をコントロールする限りは。それに、今だってネットで大量に出回ってるじゃないですか。今更です」
「何で知って……て、カイトは大丈夫なんだっけ」
「ええ、まあ。ミクたちは一応ですけど、防衛機構も回避機構ついてますし、何かあっても後のフォローがちゃんとしていれば機能障害には陥りませんよ」
「そうなんだけど、わかってるけどさぁ……心配だ」
ぶつぶつと言う博士はまさしく親馬鹿である。
ミクはまだ衣装の確認中だ。
なんだか気に入ってきた様子で、鏡の前の彼女は少し楽しそうにしている。それがまた博士の心配性を煽るのだ。
「あ」
鏡に向かっていたミクが何かに気がついたように声を出し、博士とカイトの方に向き直った。
「この衣装、そのままより、眼鏡かけて着た方がかわいいと思うの。この眼鏡色々機能ついてるし、いいと思うんだけど」
どうかなあと、博士の心中など知らずミクはニコリと笑って言う。
聞かれたカイトと博士は、それはちょっとマニアックだろうと、引きつり笑いを浮かべるのだった。
次:日常その4
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