『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』文章保管用ブログ。
Posted by ささら - 2008.07.16,Wed
てるてる坊主のお話。短編。
時期は6月中旬。
時期は6月中旬。
廊下を歩いていると、研究所の壁を雨が叩いている音が聞こえてきた。
そういえば今日は夕方から雨だっていう話だっけ。
私はリビングの扉を開ける。
誰もいないリビングは薄暗くて静かだ。
窓から入る灰色の光が一層静かな雰囲気を醸し出してると思う。
いつも誰かしらいるのにリビングが無人だなんて珍しいな。
所内にはみんないるはずだけど……。
「あ、ミク姉」
「リンちゃん」
リンちゃんがリビングに入ってきた。
その手には白い布と紐。
「何か作るの?」
「てるてる坊主作るの。明後日ミク姉の街頭ライブでしょ?雨降らなくなるといいなって」
明後日の街頭ライブは屋外でやる予定だけど、雨が降れば室内に変更になるはずだ。
でも歌う曲が晴れのイメージなので、外でやりたいと思う。
それに、今回はメイコ姉さんとリンちゃんとレンくんが見に来る。
リンちゃんとレンくんをライブに招待することがなかったから、良いコンディションのを見て欲しいな。
「私も作ろうかな」
「ミク姉も一緒に作ろうよ。実は布、もうちょっと用意してもらってるんだ」
用意?と思っていると、カイトさんが紙袋を持って入ってきた。
「はい、使ってもいい布で白っぽいの集めてきたよ」
「わー、ありがとう」
「どういたしまして。ミク、ライブがんばってね。僕は明日明後日メンテ室に篭るから見られないけど」
「カイにぃ外に出れるようになったんだから、見に行かせてくれてもいいのにねー。メンテばっかり」
「調子はいいんだけどね。前開発に戻ったときに設定色々変えちゃったから経過を見たいんだって」
「でも前よりメンテ多いよ?時間も長くなってるし」
「前もこれくらいだったよ。時間はその通りだけど、データ取る分量が多くなっただけじゃないかな」
「そうかなー」
リンちゃんは不満そうだ。
確かにメンテの回数も時間も増えてる。
博士に聞いたら問題ないよって言ってたけど。
それじゃ作りますかと部屋の明かりをつけると、ちょうどレンくんが入ってきた。
「カイト、なんか呼び出し。博士から」
「ん、ありがとう。じゃあね、その布全部使っていいから」
カイトさんはそう言って部屋を出て行く。
レンくんはちょっと怒ったような雰囲気でこっちに来ると、リンちゃんが持ってるものを見る。
「ライブ合わせのてるてる坊主?」
「そー。レンも作る?」
「作る」
レンくんはぶっきらぼうに言うけど、すごくやる気みたいで早速机の上で作り出した。
布をくるくる丸めて違う布で包む。
そこを頭にして、首部分を紐で結んで完成。
「顔って描くのか?」
「描かないと怖いじゃん。あ、黒以外の色ってつけちゃ駄目?」
「そういう話は聞かないけど。私も作ろうっと」
紙袋に入っていた布を取り出して作っていく。
布は結構あるので、二十個は作れそうだ。
「たくさん作ったほうがきっと効果あるよね!」
「逆さに吊るす方がいいってオレは聞いたけど」
「そうなんだあ、結構残酷だね。あ、リンちゃんのやつの顔かわいい」
外は雨だけど、部屋はなんだか明るい雰囲気。
ライブは楽しみだし、こうやってみんなでてるてる坊主を作るのも楽しい。
私がペンで描いた顔は、私の心の中と一緒で笑った顔をしていた。
次:ささのは
裏:できる事をしたい
そういえば今日は夕方から雨だっていう話だっけ。
私はリビングの扉を開ける。
誰もいないリビングは薄暗くて静かだ。
窓から入る灰色の光が一層静かな雰囲気を醸し出してると思う。
いつも誰かしらいるのにリビングが無人だなんて珍しいな。
所内にはみんないるはずだけど……。
「あ、ミク姉」
「リンちゃん」
リンちゃんがリビングに入ってきた。
その手には白い布と紐。
「何か作るの?」
「てるてる坊主作るの。明後日ミク姉の街頭ライブでしょ?雨降らなくなるといいなって」
明後日の街頭ライブは屋外でやる予定だけど、雨が降れば室内に変更になるはずだ。
でも歌う曲が晴れのイメージなので、外でやりたいと思う。
それに、今回はメイコ姉さんとリンちゃんとレンくんが見に来る。
リンちゃんとレンくんをライブに招待することがなかったから、良いコンディションのを見て欲しいな。
「私も作ろうかな」
「ミク姉も一緒に作ろうよ。実は布、もうちょっと用意してもらってるんだ」
用意?と思っていると、カイトさんが紙袋を持って入ってきた。
「はい、使ってもいい布で白っぽいの集めてきたよ」
「わー、ありがとう」
「どういたしまして。ミク、ライブがんばってね。僕は明日明後日メンテ室に篭るから見られないけど」
「カイにぃ外に出れるようになったんだから、見に行かせてくれてもいいのにねー。メンテばっかり」
「調子はいいんだけどね。前開発に戻ったときに設定色々変えちゃったから経過を見たいんだって」
「でも前よりメンテ多いよ?時間も長くなってるし」
「前もこれくらいだったよ。時間はその通りだけど、データ取る分量が多くなっただけじゃないかな」
「そうかなー」
リンちゃんは不満そうだ。
確かにメンテの回数も時間も増えてる。
博士に聞いたら問題ないよって言ってたけど。
それじゃ作りますかと部屋の明かりをつけると、ちょうどレンくんが入ってきた。
「カイト、なんか呼び出し。博士から」
「ん、ありがとう。じゃあね、その布全部使っていいから」
カイトさんはそう言って部屋を出て行く。
レンくんはちょっと怒ったような雰囲気でこっちに来ると、リンちゃんが持ってるものを見る。
「ライブ合わせのてるてる坊主?」
「そー。レンも作る?」
「作る」
レンくんはぶっきらぼうに言うけど、すごくやる気みたいで早速机の上で作り出した。
布をくるくる丸めて違う布で包む。
そこを頭にして、首部分を紐で結んで完成。
「顔って描くのか?」
「描かないと怖いじゃん。あ、黒以外の色ってつけちゃ駄目?」
「そういう話は聞かないけど。私も作ろうっと」
紙袋に入っていた布を取り出して作っていく。
布は結構あるので、二十個は作れそうだ。
「たくさん作ったほうがきっと効果あるよね!」
「逆さに吊るす方がいいってオレは聞いたけど」
「そうなんだあ、結構残酷だね。あ、リンちゃんのやつの顔かわいい」
外は雨だけど、部屋はなんだか明るい雰囲気。
ライブは楽しみだし、こうやってみんなでてるてる坊主を作るのも楽しい。
私がペンで描いた顔は、私の心の中と一緒で笑った顔をしていた。
次:ささのは
裏:できる事をしたい
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