『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』文章保管用ブログ。
Posted by ささら - 2010.02.28,Sun
カイトの話。時期はレンと白砂の大地の前後。
またお前のグダグダか。
またお前のグダグダか。
追いやられた部屋の端で、それにしても口論の多い二人を、うんざりしながらも観察している。明らかに仕事ではない、プライベートの作品を共同で作っているのだから、仲がいいのは間違いないだろう。しかし、新作について集まって三回目、今回もまた口喧嘩で作業も話も進まない。何時までの予定だっけと考えて、時計を見てから眉を曲げた。あと少ししかない。気が付いているのかなとは思ったが、話しかけもせず傍観者を気取っていた。
やる気がないかと問われれば、彼は違うと答えるだろう。しかし、全てを掛けている訳でもない。真剣でも、まったく適当でもない。扱いにくいのだ、仕事ではない歌は。どんな苦痛を背負っても、仕事扱いになるだけ耐久試験の方がいいと彼は思う。歌う事がうれしくないわけがないが、肯定できるかどうかは別の話だ。
他者を満足させる事の実感さえないのに、他人の趣味を手伝うなんて、どんな顔をすればいいのか。大体、自分でなくても、他のボーカロイドや、ソフトウェアのボーカロイドがいるだろうに。
ひねていると評される彼の心情は、現在もどろどろに渦を巻いている。その微妙な歪みには、この作品を作った二人も歌声を聞いただけで気が付いて、逆に彼を気に入ってしまったらしい。正確には、その精神回路が紡ぐ音を気に入ったと言う。昔、薄暗いものを持っているボーカロイドがいてもいいと彼に喋った人間がいた。そんなものを求める人間がいるのは確かのようである。
人間はよくわからないな、などと、どこかの映画に出てくるロボットのセリフような思考が浮かんで消えた。そんなうちに、喧嘩が終わっていた。何故か今話題のモバイル機器の話をしている。すっかり世間話に花を咲かせた挙句、お茶にしようと言われた。
お茶はいいが、曲はどうなったんだ?そんな言葉さえ、飲み込んでしまった。人見知りではない。きっと、たぶん、もう帰りたいと思っているからだ。そうであると、彼は思いたかった。
やる気がないかと問われれば、彼は違うと答えるだろう。しかし、全てを掛けている訳でもない。真剣でも、まったく適当でもない。扱いにくいのだ、仕事ではない歌は。どんな苦痛を背負っても、仕事扱いになるだけ耐久試験の方がいいと彼は思う。歌う事がうれしくないわけがないが、肯定できるかどうかは別の話だ。
他者を満足させる事の実感さえないのに、他人の趣味を手伝うなんて、どんな顔をすればいいのか。大体、自分でなくても、他のボーカロイドや、ソフトウェアのボーカロイドがいるだろうに。
ひねていると評される彼の心情は、現在もどろどろに渦を巻いている。その微妙な歪みには、この作品を作った二人も歌声を聞いただけで気が付いて、逆に彼を気に入ってしまったらしい。正確には、その精神回路が紡ぐ音を気に入ったと言う。昔、薄暗いものを持っているボーカロイドがいてもいいと彼に喋った人間がいた。そんなものを求める人間がいるのは確かのようである。
人間はよくわからないな、などと、どこかの映画に出てくるロボットのセリフような思考が浮かんで消えた。そんなうちに、喧嘩が終わっていた。何故か今話題のモバイル機器の話をしている。すっかり世間話に花を咲かせた挙句、お茶にしようと言われた。
お茶はいいが、曲はどうなったんだ?そんな言葉さえ、飲み込んでしまった。人見知りではない。きっと、たぶん、もう帰りたいと思っているからだ。そうであると、彼は思いたかった。
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