初音ミクのある日の日記

ミクのショートショート。
時期は二月初めあたり。

　一ヶ月ぶり日記がかけた。
　一ヶ月なんて日記という感じじゃないけど…言い訳させてもらうと色々大変で日記をつけるのを忘れるくらいでした。
　仕事が大変だったというのもあるけど、それ以上だったのが生活の変化のため。新しい家族が増えて毎日驚きの連続でした。
　今日は新しく増えた家族、妹と弟、それから兄の話を書きます。
　妹と弟、リンちゃんとレンくん。私と同世代のボーカロイドの子達です。
　新型のAIと精神制御システムとかいう仰々しい物を持っているのだから、気難しい子たちなのかと思ったら全くそんなことはなくて、むしろ明るくて素直でいい子たちでした。
　でも最近慣れてきたのかリンちゃんは良く所員の人にいたずらしてちょっと困っています。
　寝ている隙に首筋に缶ジュースとか、こっそり塩と砂糖を入れ替えるとか。レンくんは止めてるみたいだけど、ちょっとリンちゃんに比べると気弱でいつも押し切られてるみたい。
　レンくんはシャイみたいであまり話しかけてくれたりしない、けど返事をしないわけじゃないし、やっぱりいい子。
　他の人にはそうでもないけど、レンくんはカイトさんだけにはちょっと冷たい。なにかイラついてるみたいによく突っかかっているように見えるな。カイトさんがケンカするような人じゃないからケンカになったことはないけど、なんとかならないものかしら。
　新しく出来た兄、カイトさん。カイトさんは、物はよくこぼすし落とすし鉛筆の持ち方も変だしお箸もてないしボーっとしてるしよく転ぶ。メイコ姉さんがすごく苦労して色々教えているみたい。
　ボーカロイドは初期状態でも生活に支障がないレベルの基本マナーが備わっているはずなんだけど、カイトさんはそれがなくて子供みたいな状態なんだって。
　私たちはボーカロイドなので歌うのがお仕事。
　私とメイコ姉さんは歌手として仕事しているし、リンちゃんやレンくんも歌手デビューするんだろうな。
　それぞれ違う声質を持っていて、得意な音域やジャンルも違うからライバルだけど対抗相手って感じではなくて、一緒に頑張っていく仲という風になれると思ってます。
　私は特にリンちゃんとレンくんがデュエットしているのを聞くのが好きで、良く個別練習をこっそり覗いてたりします。後で怒られるんだけど。
　一緒に生まれた兄弟ってちょっとうらやましいな。息がぴったりなんだもの。
　でもカイトさんが歌を練習しているところは見たことがない。本当にボーカロイドなの？と博士に聞いたら「そのはずだけどね」と苦笑されちゃった。
　よくわからないけどいつかカイトさんの歌を聞いてみたいな。 


次：日常その9